「いいゆめ・ゆし・きぶん。」

イラストレーター佐藤右志の脳内備忘録ブログ

桃の花

 


立春、旧暦元旦(春節)もすぎると、だんだんと春に向かっていく気配を感じ始めます。


私はお花がとても好きなんですが、


お花は、暦の節目毎の行事に欠かせない、季節の移り変わりを身近に感じることができるごくごく身近な自然ですよね~。


そして、冠婚葬祭、お祝い、お別れ、あらゆる人生の節目には欠かせないもの。

 

嬉しい時も悲しい時も、特別な時も普通の時も、人生のハレとケを彩るニュートラルな存在。いつも必ず寄り添っているもの。そして、咲いたら散る、枯れる、儚いもの。儚いからこそ美しい。

 

もし世界に花がなかったなら、なんて世界は殺風景なんだろうとさえ思います。

 

お正月には南天や千両や松、
水仙や葉牡丹。

春になる前は椿や梅。

雛祭りには桃の花。

やがて桜の季節が巡ってきて…

菜の花・ラナンキュラス・チューリップ・芍薬

端午の節句には花菖蒲。

母の日にはカーネーション

薔薇の季節がやってきて…

ブーゲンビレアクレマチス

梅雨は紫陽花。

七夕には笹の葉。

朝顔の蔓が伸びる頃…

お盆にはホオズキ。

向日葵が元気に咲いて…

竜胆・秋明菊彼岸花・吾亦紅。

重陽節句には菊の花。

中秋の名月にはススキ。

ケイトウフォックスフェイスハロウィーン

再び薔薇の季節が巡ってきて…

コットンツリー・クジャクヒバ・山帰来・ヒヤシンスでクリスマス。


あ~、書いてるだけで色んなお花が思い浮かびます~♪


最近じゃ、花や野菜や果物の季節感がなくなって周年みかける花が増えたとはいえ、こう書き連ねるとやっぱり季節を感じますね。特に日本には四季がありますから。やっぱり、お花は生活に欠かせないなぁ~。


2月をすぎたこの時期になると、3月3日の桃の節句にむけて、だんだんと桃の花をお花屋さんでみかけるようになりますね。


3月3日のお雛祭りはひと月後ですが!早い!


桃の花の花言葉がまたいいです。

「天下無敵」
「チャーミング」
「愛敬」

「あなたに夢中」

 


ちなみに桃の花はバラ科です。


桃の花といえば果物の「桃」を連想します。大好きなんですよね~。瑞々しくて美味しいです。夏の定番です。


以前、真夏に買い物帰り、駅前で托鉢中のお坊さんに買ったばかりの桃をひとつ暑そうだったからなんとな~く喜捨させていただいたら、家に帰ると桃が一箱どーーんと知り合いから送られてたというおもしろいことがありました。


特段、関連性はないんでしょうけど、なんだか帰ったら桃が味もグレードアップしておまけに倍以上に増えてて、マジックみたいで得した気分で楽しかったです。


いつも桃の花を見ると連想して思い出すエピソード。

 

そして、桃の花→桃→桃太郎→鬼ヶ島→鬼退治と、めくるめく連想ゲームがとまらなくなりますが(汗)

 

それから桃といえば、不老長寿、桃源郷って言葉も思い出したり。

 

桃を食べると不老長寿になれるという由来が昔あったとか。如何に人は、不老長寿を求めているか…ははは

 

あと、桃源郷ってなんだろうと改めて調べてみると、大抵が理想郷・ユートピアのことと書いてありましたが、「ユートピアとは似て非なるもの。ユートピアの崩壊後に姿を現わすもの」としている説もあって、私はなんとなくこの説にグッとくるものがありました。

 

「〜♪ 海の彼方にはもう探さない 輝くものはいつもここに わたしのなかにみつけられたから」千と千尋の神隠しの歌詞を桃源郷の説明に引用していて、なるほどなぁ〜と思ったり。

 

「そっか、桃源郷って自分の外の遠くじゃなく、いつも自分の中に常にあるのかぁ〜」と。

理想郷に向かって外に求めていった果て理想が崩壊した時、ホントは内側に桃源郷はあったんだねって気づくということか…

 

話がどんどん脱線しましたね(笑)

連想のまま書いてたらこんなことになってしまいました(汗)

 

ちなみに、千と千尋の神隠しの歌詞、改めて読んでみるとすごくいいですよ。

 

ちょっと早いけれど、桃の花でも飾ろうかしら。桃の季節はまだだけど、眺めてるだけで桃を味わってる気分になれるかもね~。

 

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じゆーだ!

たとえ

一瞬の

夢だろーが、

幻だろーが、

仮初めだろーが、

私の世界は

全部

ホントーだ。

嘘も、

誤魔化しも、

逃げも、

隠れも、

したくない。

 

どんな環境でも、

どんな状況でも、

ホントーは

じゆーだし、

全部自分の心次第。

私は私だ。

 

遊べー!

楽しめー!

味わえー!

感じろー!

 

全方位

五感も第六感も

総動員だ!

 

それでよし。

これぞ平和。

 

 

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置かれた場所で咲く

 

人がこの世を去る時、その命と引き換えに、どんなものにも代え難い素晴らしいプレゼントをこの世に残していく。

 

残された人が、その後を生きていくための”光”を必ず残して人はあの世へと旅立つ。

 

宮沢賢治さんの「永訣の朝」のように。

 

そして残された人は、その時は悲しみに飲み込まれて、その”光”のプレゼントの真の意味や祝福にはすぐには気づけない。

 

 けれど、時間が経てば経つほどに、その”光”にどれほどに支えられて生きてこられたか、そしてそれがどれほどに自分を大きく成長させたか、その意味や祝福にだんだんと気づかされて、本当の愛の深さを思い知る。

 

”死”とは人が最期にできる一番の贈り物なのかもしれない。

 

 

そして同じように、誰か著名な方が亡くなる時というのは、その方の思想や生き方が、広く世の中にクローズアップされる必要があるタイミングで旅立たれるように感じることが多々ある。

 

まるで、寿命を迎える星が超新星爆発するかの如く、その命と引き換えに、強烈な光を解き放ち、”新しい星”の種となる”愛”を惜しみなく周囲に振り撒きながら、最期に私たちに大きな大きなプレゼントを置いていって、そのお役割を果たし終えてから旅立ってくれるように思える。

 

新しい年を迎える直前の2016年大晦日、ノートルダム清心学園理事長の渡辺和子さんが12月30日に亡くなられたというニュースを知る。

 

なんとなく気になって、改めて渡辺和子さんの著書、ベストセラーの「置かれた場所で咲きなさい」、「幸せはあなたの心が決める」、「面倒だから、しよう」の3冊を早速購入して読む大晦日となった。

 

やはり、今だからこそ心に響く珠玉の言葉に溢れていて、年末年始の節目に手に取り読むことができてよかったなと思う。

 

 

一部ご紹介。

 

 

「人生にポッカリ開いた穴から、これまで見えなかったものが見えてくる。」「思わぬ不幸な出来事や失敗から、本当に大切なことに気づくことがある。」

 

「一生懸命はよいことだが、休息も必要。働くことは素晴らしい。しかし、仕事の奴隷になってはいけない。」

 

「いい出会いにするためには、自分が出会いを育てなければならない。」「出会っただけでは信頼関係は結べない。このご縁を大事にしようという気持ちを育てていこう。」

 

「生き急ぐよりも心にゆとりを。時間の使い方は、そのままいのちの使い方になる。」「待つことで、心にゆとりができると気付いた時、生きている現在は、より充実したものになる。」

 

「倒れても立ち上がり、歩き続けることが大切。時には立ち止まって休んでもいい。再び歩き出せるかが、目標達成の分かれ道。」

 

「人間の自由とは諸条件からの自由ではなく、それら諸条件に対して自分のあり方を決める自由なのだ。」

 

「愛は、決して相手を不自由にするものではありません。愛とは、相手をより自由にするものでこそあれ、縛り、殺すようなものであってはならないのです」

 

「ほかの人になる必要はない。また、ほかの人をあなたと同じだと思うのは大間違い。私たちの一人ひとりが、かけがえのない存在。人と比べて落ち込まなくていい。」

 

他にも心に響く言葉がたくさん。一部を抜粋。

 

 

そして、

 

「置かれた場所で咲きなさい。咲くということは、仕方ないとあきらめるのではなく、笑顔で生き、周囲の人々も幸せにすることなのです。」「置かれた所こそが、今のあなたの居場所なのです」

 

 とくに、本のタイトルでもあるこの言葉が胸に響く。この言葉で思い出すのが、2016年象徴的だったSMAPの解散で再びヒットした「世界に一つだけの花」という曲。

 

2016年は個人的には、花を咲かせる以前の、暗い土中にてひたすら芽を出す前に根を張るような”形や成果がみえない”地道な一年だったように思う。土中で青空さえも見えず、早く土の中から出たいのに、このままもしかしたら青空さえも見ず、花さえも咲かずに終えてしまうのではないかと疑いたくなるようなジレンマの日々に、何度も心が折れそうにもなった。

けれど、周りの人に支えられながら、年の終わりには、栄養を蓄えて、ようやく土の中から芽を出せそうかな?という光を感じられた。

 

2017年、今年も周りの人たちへの感謝を忘れずご縁を大切にしながら、青空の元、風を感じながら自分の置かれた場所で地道に根を張りながら、私なりの花を咲かせられるような一年にしたい。

 

私には私でしか咲かせられない花がある。

 

それを楽しみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

一足早いクリスマスプレゼント

2016年も、早いもので残すところあと一週間となりましたね!

 

今週末は、老若男女お待ちかねの楽しい楽しいクリスマスですが(笑)、今日私は、一足お先に素晴らしいクリスマスプレゼントをいただきました〜。

 

ちょうど外国の美術大学の一学期を終えて年末年始に一時帰国したばかりの、かつての教え子と、ついに10年越しの再会を果たしたのです〜!!

 

やったぁ〜〜〜〜!!\( ˆoˆ )/

 

その教え子から、インターネットを通じて私のところに突然連絡が入ったのは、ちょうど約一年前。

 

かつて主宰していた絵画教室を閉めて、当時まだ小学生だった教え子たちとはまったくの音信不通になって約10年、まさかこんな形で、電波での再会を果たすことになるなど思ってもみなかったので、教え子からの突然の連絡には本当に驚いて、喜んだのですが、

あれから更に約一年後、ついに、本人と直接の再会を実現することができたのです!

 

すごぉ〜〜いっ!!!

 

こんなことって、実際におこるんだなぁぁ〜〜。

 

なんといいますか、ちょっと大袈裟ですけど、ホントに頑張って生きてきてよかったなぁ〜〜と、今日は思いました〜。

 

そのくらい、本当に嬉しかったのです!

 

 

10年ぶりに教室当時のコミュニケーションノート(交換絵日記)も持ってきてくれて、ちょー懐かしすぎて、思わず泣きそうになりました(笑)すごく綺麗に保管してくれてるんだもの!

 

しかも、10年前の私の描いた絵、自分で言うのもなんだけども、うまかった(笑)

 

そして、一番なにより嬉しかったのは、やっぱりかつての話よりも、成長した今の教え子に会えたこと。そして、今の教え子が学校の授業で描いたデッサンや絵をたくさん見せてくれたこと、今の話や、これからの夢や目標をたくさん聞かせてくれたことでした。

そして、かつて自分も同じように悩み、勉強してきたことを、こんな形でシェアすることができたのも嬉しいことでした。

 

しみじみ、こんな風にまた、違う形で教え子と関われる日がくるなんておもってもなかったので、有難いなぁ〜、自分はつくづく幸せ者だなぁ〜と、今日はしみじみと感じています。

 

2016年、締めくくりにこんなサプライズプレゼントが待っていようとは…(笑)

 

これだから、人生は面白い。

来年もきっと良い年になりそう(^^)

 

 

 

 

 

 

 

『邪魔になったサンタクロース』

 

*2015年12月 第四回目の「超ショートショート講座」で作った自作ショートショートです。


『邪魔になったサンタクロース』


作・わたし

 


時は2015年、師走。

年の瀬がせまる夜の街。

街路樹は煌びやかなイルミネーションに彩られ、街ゆく人々はあと数日にせまったクリスマスのプレゼントを探し求め、街中が賑わい華やいでいた。

そんな中、街の賑わいから少し離れた場所にある、人気のない小さな公園のベンチに、「ハァー」と大きなため息をつきながら1人うなだれる大男がいた。

その大男の名は「サンタクロース」。

そう、かの有名な「サンタクロース」である。

あと数日もすれば時の主人公、子ども達のヒーローになる、あの「サンタクロース」がナゼこんなところでため息などついているのだろうか?

そもそも、クロネコヤマト並みに繁忙期の最中であろうはずの彼に、そんな暇などないはずである。

ではナゼ?

答えは簡単だ。ため息をつけるほど彼は暇だったからであった。

 


「本当はサンタなどいやしない」
「サンタなんて、どうせ親でしょ?」


”サンタいない説”をカミングアウトする大人と、サンタの正体を知ってガッカリしてしまった子どもの間に、いつしかクリスマスは「おねだり」と「ご褒美」のギブアンドテイクの日になりかわってしまって以来、本家本元のサンタクロース達の仕事も年々激減していたのだった。。

世の風潮とは慎に怖ろしいものだ…

「このままではサンタJrも養えん…」

と、仲間達は次々と赤いスーツを脱ぎ捨て、白ひげを剃り落し、サンタ業を廃業し転職していった。

生活に困窮した仲間の中には、先祖代々受け継がれた大事なソリをオークションに出品し売ってしまうものもいた。
(ちなみに高値で競り落とされたようだ…)

長年連れ添った大切な相棒のトナカイさえも養えず、泣く泣く動物園に手放すものもいた。

それどころか、中には仲間に無断で”サンタマーク”や”サンタロゴデザイン”などを勝手に商標登録し、サンタグッズを販売したり、トナカイやソリのレンタル業を始めたり、金に目が眩んだ仲間達は次々とサンタを辞めてサンタビジネスに流れていったのだった。

「あいつも…そして、あいつも…
みんな変わってしまった…
きっとこのままじゃ、いつかワシも…
この自慢の白ひげを剃り落とすことになるかもしれん…」

サンタはそう、やるせなくポツリ呟くと、再び「ハァー」と大きなため息をついて、ただただうなだれるばかりであった。

 

「…あのー、おとなり空いてますか?」

サンタが慌てて顔を上げると、目の前に1人の女が立っていた。

見るからに仕事帰りであろう仏頂面したその女は、ひどくくたびれている様子だった。

「え、ええ!ど、どうぞどうぞ…」

慌ててサンタが返事をすると、仏頂面の女はぶっきら棒に会釈をし、サンタの真横にドスンッと腰を下ろしたかと思うと、「ハァー」と、大きなため息をひとつつき、自分の肩をトントン叩いたり、首をぐるぐる回しはじめたのだった。

その様子を見かねたサンタは思わず女に話しかけた。


サ「…あのー、ずいぶんとお疲れのご様子ですね…」

女「…ん?あ?ひょっとしてあたしに話しかけてんの?」

サ「はい…ずいぶんお疲れだなぁと…」

女「…そうなのよ。あたし、もうグッタリなの。…ほら年末でしょ?年末進行ってやつで、サンタ並みに忙しいの」

サ「…サンタ並みにですか…はぁ…
年末進行、何ですかそれ?」

女「…あぁ、あたしね、本作ってんの、本。この仕事ってね、特に年末忙しくって。…全然っ、終わんないから、もう今晩はさっさと帰ることにしたの」

サ「…はぁ…本ですか…それは大変ですなぁ」

女「…まぁーねー」

サ「でも、仕事が忙しいのはなによりじゃないですか?……うらやましいかぎりですよ…」

女「…まぁーねー。でもね、今の時代、本が売れないからさぁー、結構大変なんだよー」

サ「…はぁ…そうですか…それはそれで大変ですなぁ…」

女「…まぁーねー。あ、ところでおじさんは?ここでなにしてんの?」

サ「……」

女「…あ、もしかして聞いちゃマズかった?」

サ「…いや、マズくはないが」

女「……」

サ「……」

女「…それにしてもさぁ、おじさん、すっごいヒゲだよね。実はねあたし、さっきからずーっと気になってたの。遠くから、なんかベンチに暖かそうなヒゲのおじさんがいる~って、そのヒゲ超ー目立ってたから。ほらあたし疲れてるせいかおじさんが段々お布団にみえちゃって!気づいたら吸い寄せられるようにここに来ちゃってて。
…あ、ごめんなさい!あたし超失礼なこと言っちゃったね!」

サ「…いや、かまわんよかまわんよ」

女「それにしてもおじさん、そのヒゲ。ここまで伸ばすの大変だったでしょ?なんでそんなに伸ばしてるの?えっと、ファッション?趣味?願掛け?」

サ「…いや」

女「え?じゃあ、仕事でとか?」

サ「…まぁ、そういうことじゃ」

女「こんなヒゲがゆるされる仕事って、、なんだろう?だってそのヒゲ、カーネルおじさんの比じゃないもん。ってか、サンタ並みじゃん。あっははは~!」

サ「…まぁ、そういうことじゃ」

女「え?」

サ「…そういうことなんじゃ」

女「…え?なに?そういうことってどういうこと?」

サ「…サンタクロースなんじゃ」

女「…誰が?」

サ「…ワシがじゃ」

女「…おじさんが?」

サ「そうじゃ」

女「…本当に?」

サ「本当じゃ」

女「……えーーー!!うっそ~?!信じらんないーー!!ってか、サンタがこんなとこで油売ってて大丈夫なの?今超ー忙しい時じゃん!なに?もしかして仕事の合間の一服中に私サンタに遭遇しちゃった?え、私もしかして超ラッキー?」

サ「……」

女「あ、ごめん!大っきい声で!みんなにバレちゃうね!折角の一服中、ゆっくり休んでられないでしょ。ごめんごめん!…えっと、、、あ、私そろそろ行くね!おじさんゆっくり休んで!お互い年末進行で忙しいけど、頑張って山場のりこえて良い年迎えましょうね!」

サ「あ、い、いやっ!待ってくれ!大丈夫なんじゃっ!だから行かんでくれっ!」

女「…はい?」

サ「ぜ、全然、忙しくないんじゃっ!」

女「…え?」

サ「暇なんじゃっ!」

女「…サンタが?」

サ「…そうじゃ、サンタがじゃ。…暇すぎて困ってるんじゃ…
だから、まだ居てくれてもかまわないんじゃ…」

 

キツネにつままれたようにキョトンとする女に、サンタは自分の境遇について懇々と話して聞かせたのだった。

 

女「…そっかぁ~。今どきはサンタさんも大変なんだねー。」

サ「…そうなんじゃ…」

女「それじゃあ、お子さんや奥さん養うのも大変でしょ~?ソリとかトナカイの維持費なんかもかかるんじゃないの?」

サ「…そうじゃのぉ…」

女「そーだよねぇ…」


そう言うと、おもむろに女は立ち上がり、近くの自販機へ行き、缶コーヒーを両手に持って再びベンチに戻ってきて、サンタに一本缶コーヒーを手渡した。


女「飲まない?ずっと座りっぱなしで冷えちゃったでしょ?缶コーヒーだけどよかったら」

サ「ワシにか?…あぁ、すまない。ありがとう、いただくよ」

 

サンタは缶コーヒーを女から受け取ると、
しばらく両手で缶を大切に包み込むように握りしめ、手に伝わる温もりに安堵したのだった。サンタの横で女は、缶コーヒーをカシュッと音を立てて開けると、コクコクと飲みながら「あったまるね」と呟いた。

 


サ「…いつから、みんなは信じなくなったんじゃろぉ…」

女「え?サンタのこと?」

サ「…そうじゃ」

女「う~ん。そぉねぇ…サンタって姿形が見えないからかなぁ?」

サ「…見えないから?」

女「うん。あ、でも、見えないから逆に、”いて欲しい”って想像を膨らませて、信じようとするのかもしれないけど」

サ「……信じようとするか、、、
そりゃそうと、お前さんは想像じゃなく、ワシが本当にサンタだと信じてくれるかね?」

女「え?あたし?まーねー。そりゃ最初はね、おじさんがサンタだなんて、ウソじゃない?って一瞬、思ったけど。だって、サンタさんってプレゼントだけ届けて絶対姿は見せない存在で、絵の中の人だってずっと思ってたから。でも、そんな見事なヒゲみたことないし、話聞いてるとホントにサンタみたいだし。」

サ「…そうかい」

女「うん」

サ「…ところでよかったら、お前さんの小さい頃のサンタの思い出を聞かせてはくれまいか?」

女「え?あたしの?……うちはさ、クリスマスとかって初めから一切やらない家庭だったからなぁ。だからクリスマスにプレゼントなんて一度も貰ったことがなくって。お友達がサンタさんにプレゼント貰ったって嬉しそうに話すのを聞いて、子どもの頃はずっとみんなが羨ましかった。どうしてうちだけサンタさんは来ないんだろうって。」

サ「ふむ」

女「それでね、訳を親に聞いてみたら、サンタなんて知らん!って」

サ「うむ!」

女「だからかな、私ね、もしかしたら子どもの時よりも、大人になった今の方が、サンタはいないってわかってるのに、未だに心の何処かで、いて欲しいってずっと信じ続けてるの。信じてるっていうか、信じたいんだと思うんだけど。」

サ「…信じたい?」

女「うん。だって、信じなきゃ何も始まらないでしょ?なんでもそうだけど。…ホント、馬鹿みたいだけどね!いい大人が。今どき子どもだって、サンタを信じなくなってるのに。」

サ「いや、馬鹿じゃないさ。現に今、お前さんの目の前にワシがおるわけだし。」

女「あ!そーだね!まさかプレゼント届けてもらう前に本人に直接会っちゃうなんてね!すっごいよね!あははは!」

サ「ふぉふぉふぉ!」


女「…ふふふ、サンタさんやっと笑ったね」

サ「…お前さんもな」


2人は穏やかに微笑みながら缶コーヒーを飲んで、夜空を見上げた。星が煌めいていた。


女「…実はね、私、さっきまですっごく落ち込んでたの。仕事で大きなミスしちゃって。ホント自分はなにをやってんだろ?サイテーだって、自分を責めて、自分のことさえも信じられなくなるくらい落ち込んでたんだけど、サンタさんと話してたらね、なんか元気でてきた。ありがとね」

サ「いやぁ、お礼をいうのはワシの方じゃ。美味しいコーヒーまでご馳走になってしまって…」

女「ふふふ、サンタさんにプレゼントしちゃった。逆プレゼント。ふふふ」

サ「ふぉふぉふぉ!」

女「さぁてと!私、そろそろ行くね。やっぱりもう一回会社に戻ってもうひと頑張りしてくるわ!」

サ「ほう。そうかい」

女「うん」


そういうと、女はスックと立ち上がり両手を挙げて気持ち良さそうに空に向かってひと伸びした。


女「じゃあね、サンタさん!お互い大変だけど頑張ろうね!良いお年を!」

サ「あ、お前さん、ちょ、ちょっと待ってくれ!」


歩き出した女をサンタは慌てて立ち上がり引き止めた。


女「ん?どうしたの?」

サ「ワシとしたことが、すっかりお前さんの欲しいものを聞くのを忘れておった!お前さんは何か欲しいものはないかい?」

女「欲しいもの?」

サ「そうじゃよ、クリスマスプレゼントじゃよ」

女「あー!そっか、すっかりお願いするの忘れちゃってたわね!サンタさんに会って満足しちゃって!」

サ「まだ間に合う、ぜひともお前さんの欲しいものを教えてくれないか?」

女「…うーん、そうだなぁ。クリスマスは仕事で忙しいし、ぶっちゃけ来られても困るんだよねー。そーだなぁ、、、あ!それじゃあ、お手紙ちょうだい!」

サ「…手紙?」

女「そ、お手紙」

サ「…手紙、で、本当にいいのか?」

女「うん。いつでもいいから。できれば、サンタさんが元気かわかるような直筆のお手紙がいいな」

サ「…ほう」

女「ほらあたし、昔からクリスマス関係ないしでしょ?だから毎日クリスマスってことで。だからね、サンタさんが出せる時にお手紙書いて送って。そしたら私もお手紙送るから」

サ「なるほど。ではそうしよう!」

女「うん。じゃあ楽しみに待ってるね!」

 

こうして、女はサンタに別れを告げ会社に戻って行ったのだった。

サンタもベンチから立ち上がり、気持ち良さそうに空に向かって大きくひと伸びした。


「よし、ワシももうひと頑張りじゃな」

そう呟いて空を見上げると、星々が煌めいていた。

 


時は2016年、師走。

年の瀬が迫る夜の街。街路樹は煌びやかなイルミネーションに彩られ、街ゆく人々は
クリスマスのプレゼントを探し求め、街中が賑わい華やいでいた。


「今年のクリスマスプレゼントどうしようかなぁ~?」

「あらあなた、まだ考えてなかったの?」

「うん。困っててね。子ども達が喜ぶようないいアイデアない?」

「それなら、この本読んでみたら?今すっごく話題になってるんだよ」

「え?なんて本?」

「『現役サンタ直伝!みんなが喜ぶサプライズアイデア』って本。」

 

 


おしまい

 

 

******************


長い話になってしまいましたが、読んでいただきありがとうございました。


サンタクロースがいるか、いないかって、この時期お決まりで話題に上がる話ですが。

子どもを持つ姉は、サンタさんがいないことをいつまで子どもに黙っていようか伝えるタイミングを考えながらも、ずっと”いるで通したいんだよね”とも言ってます。(笑)でも、そういいつつも「黙ってても子どももホントはわかってるんだけどね」とも言ってました(笑)


それでもあえて、大人も子どももサンタはいるんだと、互いにステキな嘘を”信じる”。私はそれってステキでいいんじゃないかなぁ~なんて思ったりします。


サンタはある種のメタファーみたいなもので、信じてみた時に、はじめて実在し、具現化するものなんだと思う。

だから先ずは「信じること」ありき。
信じなければ、そこにはなにもないのかなとも思います。

と、理想論かもしれませんが、そんなことを思いながら書いてみました。

最期は超現実的なラストになりましたが(笑)

 

それでは!みなさん。どうぞステキなクリスマスをお過ごしください!( ´ ▽ ` )ノ

108 その2

(*2015年12月に書いた文章です)

 

さて、昨日の朝の小話をひとつ。。


昨日は午後からの外出まではちょっとゆっくりできるとばかりに、のんびり起床とお布団でぬくぬく至福タイムをグズグズ決め込んでいたのですが、

(単に寒くてお布団から出たくなかった(ーー;))

すっぽりみのむしスタイルの私の元に母が、突然あわあわしながらやってきまして、


「大変だよぉぉ~!どうしようかねぇ~!
入れ歯を洗濯機の裏に落としちゃったよぉぉ~!!あんた取ってくれないかい~?」


と。。。

 

 


…母よ


なんで今なのよっ!!


(T . T)ぐっ…


緊急要請だ、仕方ないわねっ!!


斯様にして、みのむしは母の入れ歯に至福タイムを奪われた。。。


否、怠け者は、このようにして叩き起こされるのであります。(T . T)


巣から出て、ぶちぶちいいながら、懐中電灯を地震グッズから引っ張りだし、洗濯機裏を照らし出すと入れ歯発見!
が、手が届かない!


なんちゅーところに!!


…もう(T . T)


起き抜けの頭であらゆる知恵を絞って、そして、なんとか母の入れ歯を無事救出!


そして入れ歯を見ながら安堵する親子。。


「もう、お願いだから、洗濯機の裏だけはやめてよぉぉぉ!」


と、捨て台詞を吐きながら母を見ると、あっという間に母は入れ歯を装着しておられた。。


「命の次に大事な入れ歯だよぉ~。今日はあんたがいてくれて本当によかったよぉぉ~」と母。

 


…母よ


入れ歯の順位高すぎやしないか!?


( ̄◇ ̄;)


命の次って!!


…まぁ確かに母は食いしん坊ですからね。


母の飽くなき食への興味は素晴らしく。


いつも旅番組を見ながら、新聞広告のチラシを見ながら、雑誌や新聞を見ながら、、あれが食べたいこれが食べたいと夢を膨らませる母に、いつしか御供物のようにご飯をせっせと作り食べさせるようになった私。。


母は地蔵か仏さんか!


( ̄◇ ̄;)


なので、入れ歯さんはかなり母の喜びに貢献してくれている「恩人」…否、「恩歯」、、、


母の幸せを支えている大事な存在!


いやはや私、朝からいい事したな。


グッジョブ!


母にお礼を言われ、ご飯を美味しそうに食べる母を見たら満足した単純な娘であった。。


さて、今日は何を食べさせてあげようかしら、、、( ´ ▽ ` )

 

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108 その1

(*2015年10月に書いた文章です)

10月8日といえばお友達のお誕生日なんですが、


彼女はいつもスカートをはいていて、のほほ~んとした、天然系ののんびりした話し方をする、ふわっと柔らかな女の子らしい人なんですが、、、


わたしったらね、あろうことか、、、


そんな可愛らしい彼女のお誕生日を、、


…どーしても、


…どーしても、


『108 =いれば=入れ歯』


としか、覚えられなくてですね、、、


(T ^ T)


…ホンットに、ごめんなさい(T ^ T)


それからというものの、彼女を見ると反射的に『入れ歯』って言葉が浮かんでしまうようになりまして、、、( ̄◇ ̄;)


終いには、入れ歯を見るたびに、彼女を思い出しまして、、、(>人<;)


あーーーっ!!(>人<;)


あたいのバカッ!!


どおしてもっと、まともな語呂合わせが思いつかなかったのかしらん、、(T ^ T)


彼女と入れ歯になんの共通点もないじゃない!


今は疎遠になってしまった彼女、


元気かしら、、、


(T ^ T)

 

 

 

『入れ歯』といえば、


亡くなった父上の『入れ歯』。


自宅看護中の生前の父上は、ごはんを美味しく食べるために、ギリギリまで訪問歯科の先生に入れ歯の調整に来て頂いたお陰もあって、


亡くなる前日まで好きなものをしっかり食べられたのですが、


(最後の晩餐が寿司と餃子でしたからねぇ。。父上らしい。。(^_^;))


亡くなって4日目、自宅に御安置していた父上のラストメイクを化粧師さんにしてもらった時に、


「入れ歯を外して、代わりに綿を詰めた方がお顔がふっくらしていいですよ~」


とのことで、その時入れ歯を外してもらったのですが、その後、うっかり棺に入れ忘れてしまいまして。。


ガーーン!!∑(゚Д゚)


し、しまった~!!


『入れ歯さん』も父上と燃え尽きる予定が!


大事な相棒の『入れ歯さん』をこの世においていってしまったじゃないか!!


あんなにギリギリまで大活躍してくれた『入れ歯さん』!


父上と一心同体だった『入れ歯さん』!!


二人はあの世とこの世に離れ離れ!!


父上、すまん!!


(T ^ T)

 

…そんなわけで今でも置いてけぼりになった父上の忘れ形見『入れ歯さん』の処分に困ってましてねぇ。。


はてさて、どおしたものか、、、
(ーー;)


なんとなくそのまま捨てるのもね、『入れ歯さん』の功績を思うと気が引けましてねぇ。。


『入れ歯さん』にとってステキな第二の人生の行き先はないかしらん。。


なかなか処分できないのは私の『執着』なのかしらん、、、


それとも、父上が
『もうちょっと食べたかったなぁ~』
っていう食への想いを『入れ歯さん』に託したのかしらん、、、


『食べる=生きる』ですからねぇ。


どちらにしても、『入れ歯』なだけに、『108=煩悩の数』ってことで。


はい。


そもそも生きること自体が、煩悩か。


ははは。

 

 

時は『食欲の秋』。


今日も煩悩のままに美味しく秋の味覚をいただきますかねぇ。。

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