(この文章は2018年1月に書いたものです)
遅ればせながら、年始に映画「君の名は」のテレビ放映を見た。社会現象にもなるほどの世界的な大ヒットアニメなだけにずっと気にはなっていたものの、なかなか映画を見ずに今日まで至っていた。放送直前にたまたまツイッターのタイムラインに流れてきたツイートで放映を知り、頭五分くらい欠けたものの、やっと見ることができた。
作品と縁があるタイミングってそんなものである。
見た感想。
個人的に響くこと感じること思うことは多々あった。とりあえず、月並みな感想として絵がとても美しくRADWIMPSの音楽がかなり印象的で物語の構成もとても面白い作品だった。方々で物語自体の色んな分析や感想があるだろうから改めて詳しい内容について取り上げて書こうとは思わない。
ひとつだけ敢えて取り上げたい私が一番印象に残ったシーンは、彗星落下直前に瀧から三葉に組紐を返すシーン。
三葉の身に起こる未来を知っている瀧は、三葉と町のみんなを救いたい一心で三葉の身体に入ってなんとか彗星落下から町を救おうと奔走するが、そのためのキーパーソンである父親を説得することだけは彼女自身じゃなければできないことを思い知る。
必死になって彼女を探し、やっと本物の三葉と入れ替わり再会を果たす。その時に瀧は三葉に以前受け取った組紐を返す。
そこから、目覚めた本物の三葉が町を救うために町長である父親を説得しに奔走して遂には町を救う。
そのくだりを見ていて感じたのは「真心」と「信じぬく力」。
三葉の命を救いたい一心であきらめずに行動した瀧。
けれど最後の最後は三葉自身じゃなければ解決できないし、自分が代わりに解決できないことを思い知り、彼女自身の未来の選択を彼女の手に委ねることにする。そして三葉は瀧の想いを受け取り、自分自身で未来を変えるために行動していく。
それは、相手を信じ自分を信じぬくということだ。
組紐を返す事がそれを象徴している。
相手を信じているからこそ本人に返すのだ。
瀧は三葉の"一つの未来"を知っているけれど、実際に未来を選び変えることは三葉本人でなくてはできないし瀧がその先介入することはできないのである。そして、三葉は瀧が託した想いを信じて受け取って、自分の手で未来を選び解決していかなくてはいけない。
自分にとってかけがえのない
とても大切な人。
ただ相手に生きていてほしい。
幸せであってほしい。
そんな真心と純粋な動機だけで一心に行動する2人の「相手と自分自身を信じ抜く力」そして「選び行動していく意思」がとても胸に響くものがあった。
2018年。
「どんな風に生きたいですか?
自分の信念はなんですか?」
と思春期の2人の男女の主人公が命懸けで純粋に私たちに問いかけた年始の夜。
一年の計は元旦にありとはいうが、
そんなことに想いを馳せる、年始に相応しいステキな作品だったなと思う。