「いいゆめ・ゆし・きぶん。」

イラストレーター佐藤右志の脳内備忘録ブログ

置かれた場所で咲く

 (この文章は2017年1月1日にかいたものです。)

 

人がこの世を去る時、その命と引き換えに、どんなものにも代え難い素晴らしいプレゼントをこの世に残していく。

 

残された人が、その後を生きていくための”光”を必ず残して人はあの世へと旅立つ。

 

宮沢賢治さんの「永訣の朝」のように。

 

そして残された人は、その時は悲しみに飲み込まれて、その”光”のプレゼントの真の意味や祝福にはすぐには気づけない。

 

 けれど、時間が経てば経つほどに、その”光”にどれほどに支えられて生きてこられたか、そしてそれがどれほどに自分を大きく成長させたか、その意味や祝福にだんだんと気づかされて、本当の愛の深さを思い知る。

 

”死”とは人が最期にできる一番の贈り物なのかもしれない。

 

 

そして同じように、誰か著名な方が亡くなる時というのは、その方の思想や生き方が、広く世の中にクローズアップされる必要があるタイミングで旅立たれるように感じることが多々ある。

 

まるで、寿命を迎える星が超新星爆発するかの如く、その命と引き換えに、強烈な光を解き放ち、”新しい星”の種となる”愛”を惜しみなく周囲に振り撒きながら、最期に私たちに大きな大きなプレゼントを置いていって、そのお役割を果たし終えてから旅立ってくれるように思える。

 

新しい年を迎える直前の2016年大晦日、ノートルダム清心学園理事長の渡辺和子さんが12月30日に亡くなられたというニュースを知る。

 

なんとなく気になって、改めて渡辺和子さんの著書、ベストセラーの「置かれた場所で咲きなさい」、「幸せはあなたの心が決める」、「面倒だから、しよう」の3冊を早速購入して読む大晦日となった。

 

やはり、今だからこそ心に響く珠玉の言葉に溢れていて、年末年始の節目に手に取り読むことができてよかったなと思う。

 

 

一部ご紹介。

 

 

「人生にポッカリ開いた穴から、これまで見えなかったものが見えてくる。」「思わぬ不幸な出来事や失敗から、本当に大切なことに気づくことがある。」

 

「一生懸命はよいことだが、休息も必要。働くことは素晴らしい。しかし、仕事の奴隷になってはいけない。」

 

「いい出会いにするためには、自分が出会いを育てなければならない。」「出会っただけでは信頼関係は結べない。このご縁を大事にしようという気持ちを育てていこう。」

 

「生き急ぐよりも心にゆとりを。時間の使い方は、そのままいのちの使い方になる。」「待つことで、心にゆとりができると気付いた時、生きている現在は、より充実したものになる。」

 

「倒れても立ち上がり、歩き続けることが大切。時には立ち止まって休んでもいい。再び歩き出せるかが、目標達成の分かれ道。」

 

「人間の自由とは諸条件からの自由ではなく、それら諸条件に対して自分のあり方を決める自由なのだ。」

 

「愛は、決して相手を不自由にするものではありません。愛とは、相手をより自由にするものでこそあれ、縛り、殺すようなものであってはならないのです」

 

「ほかの人になる必要はない。また、ほかの人をあなたと同じだと思うのは大間違い。私たちの一人ひとりが、かけがえのない存在。人と比べて落ち込まなくていい。」

 

他にも心に響く言葉がたくさん。一部を抜粋。

 

 

そして、

 

「置かれた場所で咲きなさい。咲くということは、仕方ないとあきらめるのではなく、笑顔で生き、周囲の人々も幸せにすることなのです。」「置かれた所こそが、今のあなたの居場所なのです」

 

 とくに、本のタイトルでもあるこの言葉が胸に響く。この言葉で思い出すのが、2016年象徴的だったSMAPの解散で再びヒットした「世界に一つだけの花」という曲。

 

2016年は個人的には、花を咲かせる以前の、暗い土中にてひたすら芽を出す前に根を張るような”形や成果がみえない”地道な一年だったように思う。土中で青空さえも見えず、早く土の中から出たいのに、このままもしかしたら青空さえも見ず、花さえも咲かずに終えてしまうのではないかと疑いたくなるようなジレンマの日々に、何度も心が折れそうにもなった。

けれど、周りの人に支えられながら、年の終わりには、栄養を蓄えて、ようやく土の中から芽を出せそうかな?という光を感じられた。

 

2017年、今年も周りの人たちへの感謝を忘れずご縁を大切にしながら、青空の元、風を感じながら自分の置かれた場所で地道に根を張りながら、私なりの花を咲かせられるような一年にしたい。

 

私には私でしか咲かせられない花がある。

 

それを楽しみたい。