「いいゆめ・ゆし・きぶん。」

イラストレーター佐藤右志の脳内備忘録ブログ

鏡とボディーペインティング

(*2015年2月に書いた文章です)

 

ここ数日、やたら眠く、ぐったりしてました。。なんでかしら。。やっとブログ更新(T ^ T)

先月、NHKの「地球イチバン~世界一のナチュラルファッション」という番組をみました。

アフリカ、エチオピアのオモ谷に住むムルシ族やスルマ族の人々の”ファッション”についてのドキュメンタリーだったのですが、非常に印象的で、素敵だったので、速攻で写真集をAmazonで購入してしまいました~。

 

*『ナチュラルファッション』DU BOOKS

ムルシ族やスルマ族の人々は、日常的に赤銅色の肌に泥や灰、岩料などでボディーペインティングを施し、様々な自然素材の枝や葉っぱ、花、果物などの植物、貝殻や動物の毛皮、羽などを用いて頭などを飾り立てて暮らしているのですが、その姿がホントにすばらしくカッコよいのです!


配色も組み合わせもバランスも天才的に絶妙なんですよ、これが。なんといっても自分の裸が最高のキャンバスなんですから。そして、みんなが思い思いのファッションの表現を堂々と楽しんでいるのがまたよい。


しかも、ペインティングがものすごく素早い。ためらいなく一気に指をつかって肌に模様を描いていくのです。泥や灰がすぐ乾いてしまうからなんでしょうが、その即興技の中の偶然性、感覚の信頼感とかハンパなく凄いなと。いつも同じ決まったペインティングをするわけじゃないのですから。

しみじみ羨ましい。

特に面白いなと思ったのが、互いにボディペインティングを施しあっている点です。


そもそも鏡という概念がこの人々にはどうやらないっぽいのです。

なぜなら鏡やガラスという人工物が生活空間に存在せず、水辺でわが身を映し見ることもできないので、自分で自分の姿を見る術をもたないということになります。


自分の身体の一部は自分の目でどんな感じにペインティングできているか見ることができるけれど、自分の後ろ姿や顔、全体像などは自分で見ることができません。こんな風にペインティングしたいというイメージは他者の姿を通して養われるのでしょう。けれど、自分の姿を自分で見る術をもたないので、一番自分らしさを象徴する顔や背中は自分で描くことができないのです。

そこで、顔や背中の表現を誰かに委ねるしかないので、他者に代わりにペインティングしてもらうことになるわけですが、これがすごく大切で重要なことのように思えました。

他者が自分の代わりに自分を見つめる”鏡の役割”を果たすことに全信頼を寄せないとできないですものね。しかも肌に直接ペインティングするということは、他者との身体的接触を強烈に伴います。これは、他者に完全に心を開いていなければできないことです。そして、他者の自分への介入をゆるし委ねなければ表現は完結しないのです。一番の自分らしさは最終的には他者が決定している。


うーむ。深い。


結局は他者の存在が自分を自分たらしめている。。”自分”って本当はなんなんでしょうね?
…ぐるぐる(´-`)

しみじみ、ぐるぐるしてみました(笑)


番組の中で、言葉は通じないけれど、親愛の証にムルシ族の女の子がレポーターの日本人の女優さんの手をつないで寄り添ってくれていたのが可愛らしくほんわかしました。

ああ、素敵!