俳優、成宮寛貴さんの引退という寝耳に水なニュースがなぜだか妙に心にひっかかった。
そして、なんとなく「泥の中で咲くハスの花」が思い浮かんだ。
ハスの花は泥の中から首を出し、美しい花を咲かせる。汚い泥水だからこそ、大きな美しい花を咲かせるらしい。
よく、泥水を人生における苦境や困難と例えて、哀しみや苦しみによって美しい花を咲かせると、仏教的な意味合いで語られる花でもある。極楽浄土の花などとも呼ばれる。
花言葉は「清らかな心」とか「神聖」「沈着」など。
そして、ハスの花といったら蓮根。今時期、収穫期を迎え食卓に並ぶ、あの蓮根。天ぷらにしたり、きんぴらにしたりと美味しいあの蓮根は、ハスの花が咲き終わった後に泥の中の地下茎が栄養を蓄えて太ったものだそうだ。
ちなみに蓮根はとても栄養価が高い。
ビタミンも豊富で、風邪やアレルギーの喘息や花粉症にも効果があるそうだ。
(流行病が席巻する今時期、意識的に食してみるのはどうだろう?実に理にかなっている…)
それから、蓮根は縁起物でもある。
蓮根の沢山空いた穴を「先を見通す」に通じるとして、おせち料理などの慶事の食材として用いられる。
汚い泥水を吸って、夏に美しい大輪の花を咲かせるハスの花の命はわずか4日であっても、その後にはさらに、汚い泥の中で沢山の栄養を蓄えた蓮根として豊かに実る。
花も実も最後には結実する。
なんて豊かな花なんだろう…
そんなハスの花と蓮根を思い浮かべながら、話を最初にもどそう。
俳優の成宮さんといえば、周知の通り、演技力があり容姿端麗でとても魅力的な俳優さんというイメージだけれど、なぜだか私の中では、昔、「ウルルン滞在記」に出演されていた時の成宮さんのイメージがずっと残っている。
番組では、成宮さんはフランス・パリの花屋さんでフローリストとして修行されていた。その様子は、とても生き生きと楽しそうだった。
そして、なにより花を扱うセンスが素晴らしかった!なんて感性の豊かな方なんだろうと、勝手に感動した覚えがある。それから、お洒落なパリのお花屋さんが本当にとてもお似合いだった。
「男性女性」といったジェンダーの観念的な背景とか、はたまた文化的要因からなのか、よくわからないけれど、残念ながら、日本では、日常的に花を愛でたり、贈ったりする習慣を持つ男性が少ないという印象が私の中では強いせいか、余計、テレビで見たフローリスト修行をする成宮さんの姿がとても自然体で印象深かったのかもしれない。
(誤解のないように書いておこう…日本にも素敵な男性フローリストさんはたくさんいらっしゃるし、花の愛好家もたくさんいらっしゃいます)
一方で、幼い頃から色々とご苦労されてこられたということも、別の番組で知った。そして、その話もとても印象深かった。
人が誰かに対して感じて受け取る印象というのは、発信する人の意志とは無関係に、その時々で受け取る人それぞれのものとなってしまうわけだけれど、今回、なぜだか私はこんなことを思い出した。
大好きな俳優さんだ。
これからも変わらずに、ご活躍を陰ながら応援している。